2018年6月頃に一人で滞在 | この口コミに投票する |
「日本の夕陽百選」の一つとして知られる夕日ヶ浦温泉にある、全室展望風呂付きの18室の宿です。六月の平日に一名で宿泊し、一泊二食付きで21,850円(税込)でした。
「はなれ風香」は「大人専用の宿」をコンセプトにしており、ゲストは中学生以上の方に限られています。宿の名前からは独立した離れを連想しますが、本館の「佳松苑」と渡り廊下でつながっている、8階建ての別棟にある宿です。1フロア3室のみというゆったりとした造りで、どのお部屋からも美しい海を望むことができます。
チェックイン手続きは本館、佳松苑のフロントで行います。ロビーは広々としており、全面ガラス張りの窓からは、南国風の庭園を望むことができました。仲居さんから丁寧にご挨拶いただいた後、お部屋までご案内いただきます。途中には、フランスのブランド「ランプベルジェ」のアロマが置いてあり、華やかな香りを感じました。
宿泊したのは、12畳の和室に、ツインベッドのある洋室、洗面、お手洗い、展望風呂がついた5階の51号室で、52平米の広さがありました。仲居さんからお部屋についてご説明いただいた後、姉妹店「御菓子司あん」の手作りの和菓子と緑茶をいただきました。
お部屋には、マッサージチェアのほか、書き物をするのにぴったりの小さな机が設けられています。机の上には、アロマポットやお魚のカルタ、便箋などが用意され、ゆっくりとした時間を過ごすのに最適でした。
また、窓の外にはテラスがあり、くつろぎながら景色を楽しめるよう、木の机と椅子が設けられています。遠くに海や周辺の山々を望むことができ、どこか懐かしさを感じるような、素敵な風景でした。
客室のお風呂は、野趣溢れる岩風呂で、温泉がこんこんと湧き出ていました。源泉かけ流しではありませんが、肌に優しい弱アルカリ性の温泉で、「美人の湯」としても知られているそうです。海はあまり見えませんが、窓を開けると開放感があり、湯船は二人でもゆったり入れる位の広さがありました。深夜1時から4時まではお湯が止まりますが、それ以外の時間、いつでも温泉が楽しめるのは嬉しかったです。
基礎化粧品は、クラランスのミニボトル(女性用)とポーラ製のボトル(男性用)が一通り用意されていましたので、こだわりがなければ持参は不要かと思います。シャンプー等のバスアメニティもポーラ製でした。バスタオルと浴用タオルは客室とお風呂の両方に一枚ずつ、合計二枚ずつ用意されていました。また、男女共に、一階の廊下で色浴衣を選べる他、客室にも色浴衣と作務衣が用意されていました。
大浴場は二箇所あり、夜は12時まで、朝は6時から利用でき、夜間に男女の入れ替えがあります。「風光」と呼ばれるお風呂には、露天風呂とジャグジー、打たせ湯、サウナがあり、ゆったりとした造りでした。もう一方の「流風」は、中庭に囲まれた通路の先にあり、窓から竹林が見える、風情あるお風呂でした。タオル類やアメニティは一通り揃っており、部屋から持参する必要がないのは便利でした。
食事は7つの半個室が設けられた食事処「風水」でいただきます。簾を下げるとプライベート感が増し、周りを気にせずに食事をいただくことができました。囲炉裏とオープンキッチンが設けられた趣ある食事処でしたが、座席からキッチンまでは距離があり、シェフをお見かけすることもなかったので、せっかくの施設が生かされていないように感じました。
メニューは、丹後地方の食材をふんだんに使用した創作会席です。漬物や野菜を乗せた創作寿司や、熱々の豆乳グラタン等、ヘルシーで目にも美しい料理が並びます。特に「幻の海老」と呼ばれる稀少な鬼エビや鮑、蟹、鯛、蛍烏賊などの地元の海の幸、山の幸を楽しめる「海と山のしゃぶしゃぶ」は、若芽の出汁が効いていて、とても美味しかったです。全体的に、女性を意識したメニューのようでしたが、質、量共に、男性でも十分満足できる内容だと感じました。
嬉しかったのは、仲居さんが日の入り時間前に声をかけてくださり、食事を一旦中断して、部屋のテラスから美しい夕日を見ることができたことです。食事時間と日没が重なり諦めていたところでしたので、細やかなお気遣いをありがたく感じました。
朝食は和食と洋食から選択することができ、私は洋食を選びました。米粉のモチモチしたパンや、産みたて卵で作ったオムレツなど、どれも美味しくいただきました。セルフサービスのドリンクは、お酢にこだわったドリンクや、マンゴー味のドリンクなど種類が豊富で、選ぶ楽しみもありました。持ち帰り用の紙コップが用意されており、部屋でゆっくりと飲み物をいただけるのも、嬉しいサービスでした。
朝食時にはシェフがキッチンにいらっしゃいましたが、卵料理を目の前で作っていただけるサービスもなく、最後までオープンキッチンの良さが感じられなかったのは、少し残念に感じました。
チェックアウト時には、仲居さんからの直筆のお手紙をいただき、嬉しく思いました。佳松苑のスタッフと接する機会も多々ありましたが、どの方も笑顔で丁寧に接してくださり、全体的に接客レベルは高いと感じました。ホテルの快適さと旅館のおもてなしの両方を楽しむことのできる、大人のための素敵な宿です。
接客対応 | 仲居さんの細やかなお気遣いが心に残りました。チェックアウトの際にいただいた直筆のお手紙も、大事な思い出の品となりました。 |
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清潔感 | 経年劣化を感じる部分もありましたが、全体的に綺麗に清掃されていました。 |
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客室 | テラスからは海が見え、開放感を感じるお部屋でした。お部屋のタイプは全て同じですが、上の階になるほど景色が広がり、海が綺麗に見えるようです。 |
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食事 | 丹後の海の幸、山の幸を使った料理が多く、どの品も上品な味わいでしたが、オープンキッチンを生かした料理がないのは、少し残念に感じました。 |
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コスパ | お部屋やお風呂、食事内容等を考えると、リーズナブルだと感じました。 |
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立地 | 駅からは距離がありますが、送迎バスが利用できるので、不便には感じませんでした。海岸までは徒歩5分程です。 |
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温泉・スパ | 客室の展望風呂には、美人の湯と呼ばれる温泉がこんこんと湧き出ており、ゆっくりと入浴を楽しむことができました。 |
・客室展望風呂は、宿泊階により、浴槽の広さや材質が異なります。別料金で、岩風呂限定のフラワーバスや、アロマキャンドルバスを楽しむこともできました。
・一階に、同じ造りの貸切風呂が二箇所あります。(1回45分、税別1,200円)今回は利用しませんでしたが、本館の大浴場も利用することができました。
・館内には、階段の昇降リフトや、休憩用の椅子が用意されており、高齢者や足の不自由な方への配慮が感じられました。客室には段差があるので、注意が必要です。
・お部屋ではWi-Fiが利用できます。
・希望により、三種類の枕(そばパイプ枕、ヒノキ枕、低反発枕)をお借りすることができます。
・帰りの送迎バスでは、駅から徒歩5分程のおみやげ物屋「かにはん」か、駅か、下車する場所を選ぶことができます。「かにはん」の隣には、宿のお茶請けのお菓子の製造元「御菓子司あん」もあるので、お土産選びに便利でした。
・佳松苑には売店やスナック、卓球、ゲームコーナー等、施設が充実しており、「はなれ風香」の宿泊客も利用することができました。