平八茶屋の外観

かま風呂が楽しめる「山ばな 平八茶屋」・夏目漱石が愛した京都の料亭で雅な世界を体験

古風な都の佇まいを今に伝えている京都。洗練された京風の街並みは、日本人が古来より培ってきた伝統文化の粋と言えますね。とはいえ、京都に宿泊する場合、繁華街にあるモダンなデザインのホテルを選ぶ人は大勢いるでしょう。そこで、ひとつ提案です。せっかく京都で一夜を明かすなら、京の雅な世界が満喫できる「山ばな 平八茶屋」に宿を取ってみてはいかがでしょう。風情あふれる平八茶屋は、洛北の高野川沿いにある宿。本格的な懐石料理が堪能できるほか、国内でもなかなかお目にかかれないかま風呂まで体験できてしまうのです!

古刹のような門が目印の平八茶屋

平八茶屋の外観

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の外観

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

京都と若狭を結ぶ若狭街道。江戸時代には「鯖街道」とも呼ばれた道で、若狭で獲れた魚はこのルートを通って京都まで運ばれていました。その若狭街道に古めかしい門を構える宿こそ、1576年創業の平八茶屋です。初代から数えて、現在の亭主はなんと21代目。もともとは街道を行き来する人たちに料理をふるまう料亭でしたが、1970年に宿泊客を受け入れる料理旅館になりました。以来、京懐石や若狭懐石が堪能できる名物旅館として、平八茶屋は京都の食文化を洛北の地で支え続けています。

平八茶屋の外観

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋のシンボルとも言えるのが、古刹の入口を思わせる古い藁ぶきの門。思わず中を覗き込んでみたくなるような趣深さが漂っていますね。凛とした佇まいながらも、どことなく旅情を誘うような平八茶屋の門は、この先に広がる雅な空間の序章と言えそうです。

平八茶屋の外観

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

自家用車で平八茶屋を訪ねる人には、駐車場が用意されています。京都駅からのアクセスは、タクシーでおよそ30分。叡山電鉄を利用する場合は、修学院駅から徒歩5分。京都バスなら、「平八前」の停留所で下車してすぐです。

四季の移ろいが感じられる日本庭園

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

門をくぐったら、後ろを振り返ってみましょう。鄙びた門が平八茶屋により深い情景を添えていることに気づくはずです。

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

緑滴る通路を進んだ先には、茶店のような建物と縁台が。ここで名前を告げると、宿の方が客室まで案内してくれます。この時点では、まだチェックインの手続きはありません。「フロントでチェックインをして客室へ」という一般的な流れに慣れている人は、意外な出迎え方に新鮮味を覚えるでしょう。

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の日本庭園

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

客室へ向かう道中は、平八茶屋ご自慢の日本庭園を思う存分満喫できるでしょう。もちろん、宿泊する時期によって、庭園は四季折々の豊かな表情を見せてくれます。春には清々しい新緑、夏には深みのある鮮やかな緑、秋には色彩あふれる紅葉、冬には一面の雪化粧など、1年の移ろいがそのまま庭園に映し出されるのです。

平八茶屋にある木造建築

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

客室を紹介する前に、平八茶屋にある建物を見てみましょう。

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋では敷地全体が日本庭園になっており、その庭園を囲むように建物が点在しています。建物を覆い隠すように樹木が生い茂っているので、日本庭園の美しさがより際立って見えますね。しかも、宿泊できるのは1日4組まで。静かで穏やかな空気が流れているのも納得です。

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の建物

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋にある建物は、宿泊用の小部屋のほかに、団体での会食が可能な大広間、奥の間、松梅の間など。建物はどれも歴史を感じさせる古風な木造建築で、どこか懐かしさを感じさせるような佇まいです。上の画像では、最後の2枚が大広間。1階は40畳、2回は30畳もあり、結納や披露宴などが行われることもあるそうです。

高野川を望む客室

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

それでは客室を紹介しましょう。客室はどれも独立した離れの個室。誰にも気兼ねすることなく、のんびり過ごせる環境が整っています。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

部屋の作りは純和風で畳敷き。客間が潔いほどシンプルに見えるのは、余計な装飾を徹底して排しているからでしょう。この客間で、宿泊の記帳をします。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

記帳をする時には、歓迎のお茶とお菓子がいただけます。とくに目が行ってしまうのは、お茶請けに出てくる平八茶屋オリジナルの「むぎとろ饅頭」でしょう。料亭として創業した平八茶屋の名物料理は、ずばり麦飯とろろ汁。丹波産のつくね芋を丁寧にすって特製の出汁を混ぜると、濃厚にして滑らかな食感のとろろ汁ができます。そのとろろ汁にちなんで考案されたお菓子が、むぎとろ饅頭なのです。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

むぎとろ饅頭は、とろろ汁から作った薄皮で粒餡を包んだ優しい風味のお饅頭。とろろ汁と餡の組み合わせが絶妙にマッチした1品です。お土産として購入もできるので、気になる人は宿の方に尋ねてみましょう。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

窓際の広縁にはイスとテーブルのセットが置かれています。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

客室で見逃せないのは、高野川の眺め。平八茶屋の表玄関は若狭街道に面していますが、背後には高野川の清流が流れています。川のせせらぎに耳を傾けていると、平八茶屋に漂う静寂な空気がいっそう強く感じられるでしょう。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

広縁の端には洗面台があります。なお、客室に冷蔵庫はありませんが、必要に応じて保冷剤入りのクーラーボックスを借りることが可能。また、冷蔵で保存する必要がある食料については、宿の方で預かってくれます。気軽にお願いをしましょう。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

部屋にあるアメニティは、歯ブラシやヘアブラシといった基本的なグッズのみ。スキンケアアイテムは置いていないので、とくに女性は注意しましょう。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

収納スペースは、大きめの荷物も十分に入る大きさ。冬場には、かさばるコート類も問題なく収納できます。

平八茶屋の客室

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋では、布団で一夜を過ごします。夜になると、日本庭園も高野川も漆黒の闇。俗世間から切り離された平八茶屋の存在が、身に染みて分かる時間です。

平八茶屋のトイレ

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

トイレは独立したスペースにあり、多機能式になっています。

かま風呂が満喫できる浴場

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の醍醐味をもっと味わいたいなら、かま風呂を体験してみましょう。浴衣は客室に置いてあります。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

かま風呂も独立した建物になっていて、かま風呂のほかに普通の浴場もあります。利用時間は、到着日の夕方16:00から夜22:00までと、翌朝の7:00から9:00まで。空いていれば、いつでも貸し切りで利用ができるので、予約時や記帳時に確認しておきましょう。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

脱衣所と洗面スペースは間仕切りなし。衝立は、入口を隠すように使いましょう。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

かま風呂の建物には、普通の浴場もあります。とはいえ、メインはあくまでもかま風呂。やはり、日常では体験できないかま風呂をじっくりと満喫したいですね。先にかま風呂でたっぷり汗をかいたら、浴場で汗を洗い流しましょう。爽快な気分に浸れること間違いなしです。もちろん、貸し切りなら、ふたつのお風呂を交互に往復して楽しむこともできます。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

かま風呂の入口はずんぐりとした特徴的な形。入口を見ただけで、かま風呂への期待感がいっそう高まっていきます。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

大量に汗をかくので、かま風呂の前には飲み物が用意されています。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

かま風呂の熱さは55度から60度。敷き詰められたむしろに横たわっていると、次第に汗が吹き出てきます。体の老廃物を出すには、汗をかくのが1番。軽い風邪の症状なら、1回かま風呂に入るだけで治まってしまうそうです。

平八茶屋のお風呂

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

かま風呂とは、簡単に言えばサウナのこと。サウナの発祥地はフィンランドですが、日本には、古来よりかま風呂が存在していました。古くは、壬申の乱で負傷した大海人皇子がかま風呂で傷を治したという記録もあるそうです。しかも、そのかま風呂があった場所は、平八茶屋の北に位置する八瀬。つまり、平八茶屋は、かま風呂発祥の地に近いことになるのです。そうしたかま風呂の歴史をひもとくと、平八茶屋でのかま風呂体験がより貴重なものに思えてくるでしょう。

創業400年以上の老舗料亭の味に舌鼓

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋は創業400年以上の歴史を誇る老舗の料亭で、食のシルクロードとも言うべき若狭街道にあります。それだけに、懐石料理や本膳料理など、京都の食文化を支えてきた料理の数々が豊富にそろっています。今回は8月の季節料理を紹介しましょう。食事は専用の個室でいただきます。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

季節料理の献立は、先付、お造り、お吸物、八寸、焚合、焼物、揚物、酢物、麦飯とろろ汁、香物、水物の10品。小鉢に盛られて出てくるので、さまざまな料理の味が堪能できます。8月の季節料理ということもあり、清涼感を感じさせる繊細な盛り付けも見ごたえたっぷりです。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

料亭としての平八茶屋は京都でも呼び声が高く、18代目の亭主はあの北大路魯山人と親交が深かった方。食への造詣が深い北大路魯山人が贔屓にしていたほど、平八茶屋の料理は洗練されていたわけですね。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

鱧は京料理に欠かせない夏の風物詩。細やかな包丁の切り込みによって、湯通しした鱧は白い花を咲かせます。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

すでに紹介した通り、麦飯とろろ汁は平八茶屋の名物料理です。考案したのは平八茶屋の初代。京都に若狭の魚を収めた江戸時代の行商人たちは、麦飯とろろ汁で腹ごしらえをしてから、また若狭に戻っていったそうです。今でも、代々受け継がれてきた秘伝の製法でとろろ汁は作られています。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋を愛した偉人は、北大路魯山人だけではありません。京都を訪れた夏目漱石も平八茶屋で食事をしており、名作『虞美人草』の冒頭には、「今日は山端の平八茶屋で一日遊んだほうがよかった。」という一節があります。自身の作品に取り込んでしまうほど、漱石の脳裏には、平八茶屋の料理が刻まれていたのですね。もちろん麦飯とろろ汁は、漱石がこの料亭を訪れた時代にもあった料理。漱石もまた、現在と同じような麦飯とろろ汁を堪能したのでしょう。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

季節料理の締めくくりはデザート。彩り鮮やかなフルーツは、見ているだけで新鮮な気持ちになれます。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

朝食も専用の個室でいただきます。京料理らしく、さっぱりとした味わいの品々が並んでいます。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

京風の出汁が効いた卵焼きは、ふんわりとした優しい焼き上がり具合。

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

平八茶屋の食事

出典:宿らん/山ばな 平八茶屋

なお、朝食は宿泊の基本プランには含まれていません。朝食を希望する場合は、予約時にオプションとして追加オーダーをしておきましょう。平八茶屋に宿泊するなら、夕食でも朝食でも、じっくりと名料亭の味を楽しみたいですね。

平八茶屋には、400年以上に及ぶ老舗料亭としての歴史と格式があります。平八茶屋の料理は、京都の気候風土を映し出す鏡のようなもの。夏目漱石や北大路魯山人も、京都の色彩鮮やかな季節感を平八茶屋の料理に感じ取ったのではないでしょうか。そんな美食ロマンにどっぷりと浸りつつ、庭園やかま風呂を思い思いに楽しむことこそ、平八茶屋に宿泊する醍醐味と言えるでしょう。次の京都旅行では、平八茶屋で伝統の味とかま風呂をゆっくり満喫してみてください。

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